『悪党に生きる資格はねえ!!』
                                                         (『ワイルド7』作中より)

『週刊アサヒ芸能』6月6日増刊号より

 中学生の頃に嵌ってしまい、あまりの面白さに毎日の昼食代を浮かしてまで単行本を揃えた漫画・・・それは望月三起也の『ワイルド7』である。
 『ワイルド7』とは、<元・検察庁のエリート>草波勝によって集められた7人の悪党(それぞれが特殊技能を持っている)が、法では裁けぬ巨悪を退治するというストーリーで、1969年から1979年まで『少年キング』で長期連載(その間TV化された)された。その後も人気が高かった為、コミックバンバン等で『新ワイルド7』・『続・新ワイルド7 野獣の紋章』が連載されるも中断。そして昨年『コミック伝説マガジン』(実業之日本社)でワイルド7anotherとして『飛葉』が連載され(現在は廃刊により中断)、アニメ化までされているという本格バイクアクション漫画である。

 その『ワイルド7』の単行本は、元版の少年画報社ヒットCから『ワイルド7』が全48巻、徳間書店から『新ワイルド7』が全14巻、『続・新ワイルド7』が全2巻、そして『飛葉』が現在1巻という計65巻にも及ぶシロモノであるが、その中で現在のところ単行本化されていない作品がある。それが上記の写真で紹介している『ワイルド7 野獣の紋章』の『魔都ベガスを撃て』編である。この作品は1997年に週刊アサヒ芸能6月6日増刊号として発表された。

 ストーリーは、ギャンブルとして有名な都市・ラスベガスの超豪華ホテルの"特別室"に宿泊の客(大統領の娘の友達5人)が、謎のテロリスト集団に急襲され人質に取られてしまう。それを偶然、そのホテルの支配人に借金取り立ての"番犬"として来ていた飛葉が、現地で仲間を調達し、人質の救出とテロリストの壊滅に立ち向かうという展開であるが、それをこの場で詳しく語るつもりは無い。機会があれば、望月三起也の迫力のある荒々しい絵と共に物語を存分に楽しんで頂ければと思う。

 ところで今回の作品で、私がどうしても気になってしまうのは、飛葉とは昔からの知り合い(但し、飛葉は記憶喪失で覚えていない)で、ワイルド7のメンバーとなった『ポパイ』というキャラクターの存在である。二人の関係はポパイが飛葉に対して、
  
『世界…や両国…ヘボピー…八百…チャーシュー…ユキ…あいつらの事も記憶にないってのか?』
と問い掛けている事から、どうやら旧ワイルド、しかも世界・チャーシューが在籍した初期の頃からメンバーとも繋がりもあった事が窺える。しかしこのポパイ、ワイルド7のメンバーと関わりがありながら、メンバー殉職後に欠員補充として一員に迎え入れられなかったのは、やはりワイルド7としての実力に欠けていたのではないだろうか。当エピソードにおいても彼の最大の功績は、現地でワイルド7のメンバーを3人調達した事くらいで、たいした見せ場も無く物語は終わってしまう。

  次回作では、長編書き下ろし第4弾『アメリカ編』が予定されていたらしい。今回の『魔都ベガスを撃て』編もラスベガスが舞台である事から、同じメンバーを登場させる構想もあったのではないかと思われる。そうなればポパイを始め、その他の目立たなかったメンバーの活躍も期待されただけに、日の目を見る事無く打ち切られた第4弾『アメリカ編』が未発売に終わったのは残念である。

 最後にこの場を借りて私の希望を一言。旧ワイルド7で唯一の生き残ったメンバー・『テル』を、何らかの形(例えば、頭はまだまだ活かせるらしいから、新ワイルド7の参謀役とか)で、登場させてもらえませんかねぇ。 

記憶喪失の飛葉にポパイが問い掛けるシーン メンバーとなったポパイに、何故か飛葉は冷たい…。        これが悪党を退治した瞬間だ!!
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